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最近の相続の注意点を3つほど…

2019年12月24日更新

  1. 改正民法による「遺留分」の取り扱い
    7月に民法が改正され、それに伴い相続の際の税金の取り扱いが変わりました。特に注意が必要なのが「遺留分」についてです。遺留分とは法定相続人に保障された、遺産をもらえる最低限の取り分のことです。遺言に偏った配分が書かれていた場合、遺留分より少ない取り分の人は権利を主張することができます。いわゆる「遺留分減殺請求」です。今回改正されたのは「遺留分減殺請求」という名前が「遺留分侵害額請求」に変わったことと、遺留分に満たない分について金銭で支払うことに限定されたことです。遺留分紛争の解決が金銭に一本化されたため、金銭の代わりに不動産で支払うと、税法上は代物弁済による資産の移転があったものとして譲渡所得が課税されます。民法改正前には必要なかった税金です。今後はそもそも遺留分の争いが起きないような遺言にすることが大切なのかもしれません。
  2. 「路線価」否定判決
    94歳で亡くなった男性が、亡くなる3年ほど前にマンション2棟を13億8,700万円で購入しました。相続人は路線価3億3,000万円で評価し、銀行借入もあったため、相続税額を「ゼロ」として申告しました。国税当局の不動産鑑定では2棟の評価は12億7,300万円。このため国税側は「近い将来に発生することが予想される相続で、相続税の負担を減らしたり免れさせたりすることを目的に購入したもの」として「路線価による評価は適当でない」と判断しました。不動産鑑定の価格を基に3億円の追徴課税を行いましたが、相続人らは取消しを求めて提訴していました。8月末の東京地裁の判決では、国税当局の主張が認められました。今後、節税策にはリスクの理解がより必要になります。
  3. 「デジタル資産」の相続
    「デジタル資産」とはネットで管理する預金や株式、投資信託、保険などを言います。FXや仮想通貨、電子マネーも含まれます。今後は若い世代だけではなく、高齢者にもデジタル資産を持つ人が増えてきます。デジタル資産には相続で引き継げるものと引き継げないものがあります。航空会社の「マイレージポイント」は相続が可能です。一方、Tポイントなどの買い物時につくポイントはほとんどが相続できません。相続が発生した場合、親がネットで金融取引をやっていたことを知っていても、利用しているサービスのIDなどが分からず、子供らがアクセスできないこともあります。それ以前に親のデジタル資産の存在に気づかないケースも多いようです。日ごろから家族がどの金融機関とどういう取引しているかを確認することが重要です。また親は健康なうちに、不要な取引を閉じることも有効な対策の一つです。
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