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インボイスの2割特例

2023年1月20日更新

令和5年度税制改正大綱より、適格請求書等保存方式に係る見直しが入り、経過措置が設けられました。その中で今回は2割特例について見ていきます。

 

税制改正大綱より、

  • 適格請求書発行事業者の令和5年10月1日から令和8年9月30日までの日の属する各課税期間において、免税事業者が適格請求書発行事業者となったこと又は課税事業者選択届出書を提出したことにより事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる場合には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額から控除する金額を、当該課税標準額に対する消費税額に8割を乗じた額とすることにより、納付税額を当該課税標準額に対する消費税額の2割とすることができることとする。

(注1)上記の措置は、課税期間の特例の適用を受ける課税期間及び令和5年10月1日前から課税事業者選択届出書の提出により引き続き事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる同日の属する課税期間については、適用しない。

(注2)課税事業者選択届出書を提出したことにより令和5年10月1日の属する課税期間から事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる適格請求書発行事業者が、当該課税期間中に課税事業者選択不適用届出書を提出したときは、当該課税期間からその課税事業者選択届出書は効力を失うこととする。

  • 適格請求書発行事業者が上記①の適用を受けようとする場合には、確定申告書にその旨を付記するものとする。
  • 上記①の適用を受けた適格請求書発行事業者が、当該適用を受けた課税期間の翌課税期間中に、簡易課税制度の適用を受ける旨の届出書を納税地を所轄する税務署長に提出したときは、その提出した日の属する課税期間から簡易課税制度の適用を認めることとする。
  • その他所要の措置を講ずる。

ということです。

 

ポイントとして上記アンダーラインの色分けの通り5点あります。

 

【ポイント1】~対象期間と対象者~

対象期間は、例えば個人事業者が令和5年10月1日に登録した場合、令和5年10月~12月の申告から令和8年分までの申告が対象です。

対象者はインボイスの登録をしなければ課税事業者にならなかった者が対象となり、消費税法の規定により事業者免税点制度の適用を受けられないこととなる事業者は対象外となります。事業者免税点制度とは、

  • 基準期間における課税売上高が1千万円を超える場合(消法9①)
  • 特定期間における課税売上高による納税義務の免除の特例(消法9の2①)
  • 相続・合併・分割があった場合の納税義務の免除の特例(消法10、11、12)
  • 新設法人の納税義務の免除の特例(消法12の2①)
  • 特定新規設立法人の納税義務の免除の特例(消法12の3①)
  • 課税事業者選択届出書を提出して2年以内に本則課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の3年間(消法9⑦)
  • 新設法人及び特定新規設立法人の特例の適用を受けて、本則課税で調整対象固定資産の仕入れ等を行った場合の3年間(消法12の2②・12の3③)
  • 本則課税で高額特定資産の仕入れ等を行った場合の3年間(消法12の4①)
  • 高額特定資産について棚卸資産の調整の適用を受けた場合の3年間(消法12の4②)

となります。

 

【ポイント2】~税額の計算方法について~

みなし仕入率80%の簡易課税制度と同じ計算方法です。

例えば第6種事業にあたる不動産賃貸業の場合、

収入 770万円(10%税込み)

費用 110万円(10%税込みの課税仕入れ)

90万円(非課税・不課税の経費)

この場合それぞれの消費税の計算方法では、

原則課税 60万円

簡易課税 42万円

2割特例 14万円

となります。

 

【ポイント3】~課税事業者の選択について~

注1ついて、個人事業者が令和5年10月1日前の課税期間で課税事業者選択と登録申請の提出をしていた場合は2割特例の適用が不可となります。

注2について、注1の場合に令和5年10月1日の属する課税期間で課税事業者選択不適用届を提出した場合は2割特例の適用が可能となります。

 

【ポイント4】~適用にあたっての手続き~

2割特例の適用を受けるにあたり届出は不要です。確定申告書に記載するだけで受けることができます。

また2年間の継続適用の縛りもありません。申告時に簡易課税、原則課税とも選択適用が可能となります。

簡易課税選択届出書の提出があった場合は、簡易課税か2割特例を申告時に選択でき、簡易課税選択届出書の提出がない場合は、原則課税か2割特例を申告時に選択することになります。

 

【ポイント5】~簡易課税制度への移行措置~

基準期間における課税売上高が1千万円を超える課税期間がある場合、令和5年3月31日までに登録申請書の提出を行い、令和4年中まで課税売上が1000万円以下で、令和5年度の課税売上が1000万円超となった場合、令和7年度の基準期間の課税売上高が1000万円超で2割特例の適用は不可となり簡易課税制度の提出を受ける場合は令和7年度中に簡易課税選択届出書の提出を行うことで令和7年度は簡易課税制度により計算を行うことができます。

また、3年間の2割特例が終了する翌課税期間から簡易課税制度の適用を行う場合、令和9年度中に簡易課税選択届出書の提出を行うことで、令和9年度は簡易課税制度により計算を行うことができます。

 

 

上記の内容で相談等ございましたら、弊社までお気軽にお問い合わせください。

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