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平成30年3月30日に「収益認識に関する会計基準」が公表されました

2018年9月19日更新

 平成30年3月30日に「収益認識に関する会計基準」が公表されました。これまでの企業会計原則においては、「売上高は、実現主義の原則に従い、商品等の販売又は役務の給付によって実現したものに限る。」しかありませんでした。この「収益認識に関する会計基準」は、①「企業会計原則」に優先して適用される新会計基準としての位置付けがなされており、②「履行義務」という新たな概念をベースとして収益の計上単位、計上時期及び計上額を認識する会計処理が行われることとされています。

 早期適用は2018年4月1日以後開始する事業年度から可能ですが、強制適用は2021年4月1日以後開始する事業年度となっています。ただし中小企業の会計処理については、従来どおり企業会計原則等による会計処理が認められることとされています。また法人税法においては『一般に公正妥当と認められる会計処理の基準』に従った会計処理をしていれば、その会計処理が認められる(法22④)とあるため、これを受けて5月30日に法人税基本通達等の一部改正が公表され、平成30年4月1日以後終了する事業年度から適用されることとなりました。実際に通達を確認したところ、一例として旧通達2-1-1(たな卸資産の販売による収益の帰属の時期)が2-1-2~4の3つに分かれ、新たに2-1-1には①~⑯まで様々収益の計上時期の通達が新設されています。

 商取引が複雑化する中で、期間損益の考え方やポイント発行等の収益に応じて発生する債務の考え方がより明確になりましたが、投資家等の利害関係者にとっては、より保守的な決算書となるように思います。また延払基準や返品調整引当金の廃止も経過措置はありますが、会計および法人税の申告に影響を与えます。ただし消費税の申告においての課税売上・課税仕入の計上時期に変更はありませんので、この新会計基準を適用した場合には、税抜売上と取引先から預かった仮受消費税は連動しなくなります。今後、消費税の複数税率も予定されていますので、消費税の課税区分の処理には注意が必要です。

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