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海外の税務当局と金融口座情報を交換するCRS(共通報告基準)

2020年1月28日更新

 資産運用の国際化によって海外に資産を保有する人が増加する一方、海外資産に関する情報を国税当局が把握することが困難になっているため複数の国が協調して取り組むことで納税者の所得を正確に補足することがCRSの狙いです。

 CRS(共通報告基準)とは、非居住者に係る金融口座情報を各国の税務当局間で交換するために国同士が、それぞれの国の金融機関に開設された相手国、居住者の口座情報を年1回、自動的に交換する仕組みをいいます。

 CRSの対象となる金融機関には、銀行だけでなく保険会社や証券会社も含まれ、交換される口座情報は、口座保有者の氏名・住所、納税者番号、12月31日時点口座残高、利子・配当等の年間受取総額等とされています。

 日本では、2018年に情報交換を開始し、初回の情報交換においては、国税庁は日本居住者に係る金融口座情報55万件を64か国・地域から受領しました。2回目となる情報交換では、令和元年11月末時点で日本居住者に係る金融口座情報約189万件を85か国・地域から受領しました。国別はアジア・オセアニアからが146万件で8割弱を占めた。次いでヨーロッパなどの29万件、北米・中南米は9万6千件、中東・アフリカは3万2千件だった。租税回避地(タックスヘイブン)からも情報を得ています。CRSの制度に参加していない米国との間では、租税条約に基づいて個別に情報を交換している。

 入手情報が大幅に増加した理由としては、初回の交換では、残高1億円超の口座などを対象としたのに対し、2回目の交換では残高1億円以下の口座なども加わったことがあります国税庁においては、受領したCRS情報を活用し、利子・配当等の申告漏れや相続財産の申告漏れを把握するほか、国外送金等調書・国外財産調書など既に保有している様々な資料情報等と併せて分析することにより、課税上問題があると見込まれる者を抽出し、税務調査を実施するとしています。今後はCRSにより国税庁のシステムであるKSKシステムに蓄積された海外資産情報を活かした税務調査が本格化していくことになります。

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