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スマート税務行政の実現に向けて行われる、年末調整手続きの電子化について

2019年10月29日更新

 スマート税務行政の実現を図るため、令和2年10月、国税庁から給与所得者向けの年調書類自動作成ソフトの無償配布が始まる予定です。このソフトを使用すると、保険料控除申告書、住宅借入金等特別控除申告書、扶養控除等(異動)申告書、配偶者控除等申告書を自動作成することができます。

このソフトを使って年調書類を作成すると、次のようなメリットがあります。

  • ・従業員は、保険会社等から入手した控除証明書の電子データをソフトウェアに取り込むことで、生命保険料控除等の金額が自動計算・自動入力となり、簡単・正確に控除申告書を作成できるようになります。
  • ・控除証明書が電子データになるため、控除証明書を紛失したので再発行を要するということがなくなります。
  • ・勤務先は、従業員が無料ソフトを使って作成した控除申告書の電子データを受け取ることで、従業員一人ひとりの控除額を検算する必要がなくなります。
  • ・勤務先は、年調書類を紙で保存する必要がなくなるため、保管コストを削減できます。

 

このソフトを使って年末調整を自動化する場合には、次の事前準備が想定されます。

  • ・勤務先は、従業員から提出された控除申告書の電子データを取り込むため、給与システムの改修が必要となります。大手の給与ソフト提供会社は令和2年の制度開始に合わせてシステム改修を進めると考えられますので、お使いのソフト提供会社への確認を行うことになります。
  • ・従業員から控除申告書を電子データで受け取るためには、勤務先は税務署に対し「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」を提出し、事前に承認を受ける必要があります。
  • ・従業員は各自のパソコンやスマートフォンに年調ソフトをダウンロードしたり、保険会社等から控除証明書の電子データを交付を受けられるようにする等、事前準備を行う時間が必要になるため、勤務先から従業員への早期周知が必要となります。

 

 国税庁は、年調書類自動作成ソフトの無償配布を行う予定をしているほかにも、自社で給与システムを開発している勤務先やソフトウェアの開発事業者向けの仕様書を公開しています。

 今後行政手続きの電子化がますます進み、事業者や税理士事務所だけではなく従業員の方も電子手続きの当事者になっていきます。1年後の話ですが、従業員が大勢いる事業者にとっては時期尚早ということはないと思い、紹介させていただきました。

【参考資料】
年末調整手続の電子化に向けた取組について(令和2年分以降)
https://www.nta.go.jp/users/gensen/nenmatsu/nencho.htm

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