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民法(相続法)改正案について

2018年6月5日更新

第196回通常国会(会期平成30年1月22日~6月20日)において、約40年ぶりに相続に関する民法の規定の改正案が審議されています。まだ審議中ではありますが成立すれば、施行日は改正項目により異なりますが早ければ来年にも施行される可能性があります。

改正案の主なポイントを4点紹介します。

①配偶者居住権の創設
 現行法の所有権とは別に「配偶者居住権」という権利が創設されます。配偶者居住権とは、相続開始時に被相続人所有の建物に居住する配偶者がその建物を無償で使用収益することが出来る権利です。この権利を取得した配偶者は、仮に建物の所有権を他の相続人が相続したとしても原則、終身無償で建物に住み続ける事が可能となります。そして遺産評価では配偶者居住権は所有権より低く評価されるため、法定相続による場合に配偶者は建物の所有権を取得するよりも他の預貯金等の遺産を多く相続出来、被相続人死亡後の生活の安定にもつながります。また、配偶者居住権は生存配偶者の死亡により権利消滅するため、生存配偶者からその子などへの2次相続では相続税はかからないと考えられ節税対策になるとも言われています。この「配偶者居住権」は相続人間の遺産分割協議又は被相続人の遺言等によって成立するほか、必要がある場合には家庭裁判所が配偶者居住権に関する審判をすることもあります。なお、建物の所有者は配偶者居住権を取得した配偶者に対し、配偶者居住権設定の登記を備えさせる義務を負うものとされており、登記を備えることにより建物の転得者等の第三者にも対抗することが出来ます。
 一方で配偶者居住権の問題点として考えられるのが、その評価額の算定方法が明確でない点です。配偶者居住権の評価は配偶者の平均余命に基づいて計算することが想定されていますが、配偶者が若年の場合には高額になる可能性があり所有権より低い評価を想定した改正法の趣旨が損なわれますし、配偶者が老人ホーム入所等で居住しなくなった場合に配偶者居住権の取扱をどうするか、という問題も考えられます。

②遺産分割に関する改正
 婚姻期間20年以上の夫婦の一方である被相続人が他の一方に居住用不動産を贈与(又は遺贈)した時は、その不動産は遺産分割の対象とならなくなります。現行法では民法903条の特別受益として配偶者が贈与を受けた居住用不動産を原則、遺産に戻してから法定相続分の計算をするので、この改正により居住用不動産の贈与を受けていた配偶者の取得できる遺産が実質的に増加することとなります。

③相続の効力等に関する改正 
 相続による権利の承継について、遺産の分割によるものかどうかに関わらず、法定相続分を超える部分については、登記、登録その他の対抗要件を備えなければ、第三者に対抗することができないものとされます。この改正により今までは必ずしも急いでする必要が無かった相続登記を遅滞なく進めなければいけないケースが増える可能性があります。

④自筆遺言制度に関する改正
 現行法では全文を自筆で書かなければ無効とされる等、成立要件が厳格であった自筆証書遺言について、財産目録はパソコン等での作成が可能となるほか、法務局が自筆証書遺言を保管する制度が新設されます。さらに法務局が保管する自筆証書遺言については、家庭裁判所の検認手続きが不要となります。この改正により、今まで要件の厳格さや保管の問題等であまり利用されていなかった自筆証書遺言が大幅に増加する可能性があります。

(※上記改正案は、現時点(平成30年6月5日)でまだ国会承認されておりませんのでご注意下さい。)

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